「綾波...。 入るよ」
いつものようにプリントを持たされて、訪れる部屋。
部屋の主がいる事は、あまりないけど。
一応、声だけはかけてみる。
「何...?」
「あ、綾波、帰ってたんだ」
「10分前」
「そ、そう...。 あ、あの、これ...」
「...入ったら?」
溜まってたプリント、と渡そうとしたら。
少女が、機先を制した。
「う、うん...」
促されるまま、アパートに入る。 いつものように、埃の積もった床。
レイ同様、靴は履いたまま。
でも。
今回は、ごみは散らかっていなかった。
代りに、ごみ箱が、ちんまりと置かれている。
「あ、ごみ箱、置いたんだ」
「えぇ...。 座って」
椅子はひとつ、机のところ。 導かれるまま、ベッドに腰掛ける。
と。
白い美少女が、隣に座る。
「...?!」
はっと、振り向く。
「どうしたの...?」
「...え?」
「...用事...」
「あ、あの、これ、溜まってたプリント...」
「そう...」
受け取ったプリントを、そのまま枕許へ。
そして。
視線を外す、隙もなかった。
自然に。 当たり前のように。
少女のしなやかな指先が。
制服のリボンを解き。
ブラウスのボタンを外していく。
ブラウスの胸元から、白いものが覗いた。
ふと、我にかえって。
「あ、あの...綾波...?」
「...なに...?」
体ごと、振り返って。
「え、えと.....あの.....その.....な、なんでも、ない...」
結局、目が離せない。
暫し、無言の刻が流れて。
「あ、あの...僕、そろそろ...」
「.....どうして...?」
「その...ミサトさんやアスカの夕飯、作らなきゃ、いけない、し...」
.....哀れなり(^^;。
んが。
「聞いてないの...? 葛城3佐、今日、当直よ。 弐号機パイロットも、私と入れ
代わりで招集されたわ」
「...へ?! そ、そうなの...?」
「えぇ...」
帰る理由は、無くなってしまった。
「.....ところで、あの.....綾波.....」
「...なに...?」
「そ、その...どうして、それ.....」
視線は、胸元に釘付け。
「.....わからない.....」
「へ?!」
間の抜けた声。
「でも...何故か.....碇くんと二人きりだと、この方が、落ち着くわ...」
そっと微笑んで。
美少女の指先が、またひとつ、ボタンを外した。