「加持さん...」
「ん? どうした? こんな時間に。 眠れないのか?」
身を起こし。
枕許のスイッチで、ドアを開けてやる。
「もぅっ! すぐ子供扱いしてぇ。 そんなんじゃないの!」
拗ねて。
膨れて。
充分子供だと思うんだがな。
と。
いきなりしがみつかれた。
「.....おいおい、一応俺も男なんだぜ。 あっ! こら!」
ぐい。
14歳離れした胸を押し付ける。
感触で分かる。
下着、着けてないな...。
そのまま、ベッドに潜り込んできた。
はぁ...。
やれやれ.....。
「ふぅ...。 しかたないなぁ。 じゃ、俺はラウンジにでも...って、おいおい、
それじゃ動けないだろ?」
しっかりと、俺の腕を抱え込んで放さない。
「ね、加持さん.....寝よ」
「ははは、初めての部屋で一人寝は怖いか?」
そう、確か、船旅はこれが初めての筈。
「もう...加持さんったらぁ...。 加持さんは男で、あたしは女よ。 ...分かってる
でしょ?」
精一杯、しなを作って見せる。
が。
今ひとつ、色気が足りない。
...そう感じるのは、アイツを見慣れたせいかな?
「ん? ははは! そういうのはもうちょっと大人になってからだなぁ...」
まずいまずい。
アイツの胸を堪能した事がなかったら、クラクラっと行きかねんな。
「加持さんの意地悪!」
−−− ふふ、そうやってムキになるのが子供なんだよ。
心の中で、軽く突っ込みを入れる。
「.....拗ねるな拗ねるな。 一緒に居てやるから、もう寝ろ。 じゃ、灯消すぞ」
「もう.....。 おやすみなさい!」
「...あぁ、お休み」
灯を消して。 並んで横になると。
あんなこと言ってたくせに。
すぐ、安らかな寝息を立て始める。
安心しきった、子供の寝顔。
夢に見るのは......虹の彼方か。
.....こうしてると、ただの14歳の女の子だよな...。
自分が微笑みを浮かべている事に気付いて。
苦笑が漏れる。
...俺も、何やってるんだか。
ぽん、と、以前付き合っていた女の、怒った顔が目に浮かぶ。
.....へいへい、分かってますって。
14歳のコドモにゃ手は出しませんよ。
−−− どうだか...。
俺の脳裏で。 アイツ...葛城ミサトが、あっかんべ、と舌を出した。
やっぱり.....アイツの事は、忘れられそうにないな。
.....いろんな意味で.....。